第35回 社会理論と社会システム 問20

問題

　次の記述のうち，ハーディン（Hardin, G.）が提起した「共有地の悲劇」に関する説明として，最も適切なものを1つ選びなさい。

1. 協力してお互いに利益を得るか，相手を裏切って自分だけの利益を得るか，選択しなければならない状況を指す。
2. 財やサービスの対価を払うことなく，利益のみを享受する成員が生まれる状況を指す。
3. 協力的行動を行うと報酬を得るが，非協力的行動を行うと罰を受ける状況を指す。
4. それぞれの個人が合理的な判断の下で自己利益を追求した結果，全体としては誰にとっても不利益な結果を招いてしまう状況を指す。
5. 本来，社会で広く共有されるべき公共財へのアクセスが，特定の成員に限られている状況を指す。

解説

1. 協力してお互いに利益を得るか，相手を裏切って自分だけの利益を得るか，選択しなければならない状況を指す。

誤り。協力してお互いに利益を得るか，相手を裏切って自分だけの利益を得るか，選択しなければならない状況を指すのは「囚人のジレンマ」に関する記述である。

2. 財やサービスの対価を払うことなく，利益のみを享受する成員が生まれる状況を指す。

誤り。財やサービスの対価を払うことなく，利益のみを享受する成員が生まれる状況を指すのは「フリーライダー問題」に関する記述である。

3. 協力的行動を行うと報酬を得るが，非協力的行動を行うと罰を受ける状況を指す。

誤り。協力的行動を行うと報酬を得るが，非協力的行動を行うと罰を受ける状況を指すのは「選択的誘因」に関する記述である。

4. それぞれの個人が合理的な判断の下で自己利益を追求した結果，全体としては誰にとっても不利益な結果を招いてしまう状況を指す。

正しい。共有地の悲劇は、それぞれの個人が合理的な判断の下で自己利益を追求した結果全体としては誰にとっても不利益な結果を招いてしまう状況を指したものである。

5. 本来，社会で広く共有されるべき公共財へのアクセスが，特定の成員に限られている状況を指す。

誤り。「共有地の悲劇」の「共有地」はオープンアクセルであること,すなわち誰もが利用できることが想定されている。